ハルモニア総合病院、院長室の奥におかれたデスク―― カギのかかる四番目の引き出しの中に、そのアルバムはそっとしまわれている。 赤い革製の装丁を手にとって、ヒクサクは一人微笑んだ。 息子たちの成長を記録するために始めた写真は、彼らが立派に成長した今となってはほとんどヒクサクの道楽と化している。昔はカメラを向けるたびにニコッとかわいらしい笑顔を作ってくれたものだったが、最近はまったく違う意味でかまえられるかスルーされるかのどちらかが多い。 (ふふ、それはそれで可愛らしいと思うんだがね……) いかに息子たちに誤解されようともドン引かれようとも、ヒクサクは彼らを心から愛している。 |