「……何。……何か用?」 聞きたくないけど放置したほうが面倒くさそうだから仕方なく。 このうえなくイヤそうに振り返ったルックだったが、とうのヒクサクはカメラごしに 「いいや?」 と微笑んだ。 「とりあえず用はもう達したから気にしなくていい」 「……隙あらば人の顔撮ろうとする癖やめてよ。迷惑」 「迷惑?」 「迷惑だね。こんな処置室の奥まで来ちゃって。第一、院長がニヤついてカメラかまえてたら皆の……特にうちのナースたちの気が散るだろ」 カメラなどかまえなくとも日常的に注目されがちなヒクサクは何を今さら、という気持ちで瞬きを一つ。 「しかし、ここには外科婦長自ら通してくれたのだがな」 「……婦長……!!」 |